2013年2月1日金曜日

小島秀夫監督が“自分の分身のような存在”と評したSF作家,故・伊藤計劃氏とは?「伊藤計劃記録:第弐位

。  しかし,ATD以降,伊藤さんの作品から距離を置いていた小島監督は,「虐殺器官」を読んで作家としての才能にビックリしたという。小島監督は,ブーツ,その才能の開花を,伊藤さんが入退院を繰り返したことにあるのではないかと分析する。すなわち,自らの死に直面せざるを得ない状況に置かれ,ものの考え方がかなり変わったのではないかというわけだ。また小島監督は,「ハーモニー」に関しても「普通の状態の人には書けない内容」と評していた。  またMGS4のノベライズを企画していた矢野氏は,「虐殺器官」を読んで「もう伊藤さんしかいないだろう」と考えたという。その話を快諾した伊藤さんだったが,実はその時点で次回作となる「ハーモニー」に取りかかっていたそうだ。そんなある日のこと,伊藤さんは緊急入院するという事態に陥る。入院中は頻繁に連絡を取れないことから,矢野氏は相当に気を揉んでいたそうだが,伊藤さんは資料も何もなくPC一つという状態の中,1日に原稿用紙80枚分のテキストを書くスピードで「メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット」を仕上げたという。  なお矢野氏と塩澤氏,大森氏によると,伊藤さんは仕事のメールなどに対する返信がかなり遅かったという。執筆作業に熱中しているためか,1週間後に返事があることもザラではなかったようだ。  ここで壇上は,伊藤さんがなぜ「虐殺器官」を書いた(書けた)のかという話題に戻る。大森氏は,伊藤さんの映画評論に着目し,「ハードルが上がってしまうので,本来なら自分で作品を作るのは向いていない」と指摘。「虐殺器官」に使われるようなネタを参考文献として集めることはできるにしても,きちんとした作家修行をせずに一つの作品としてまとめあげたことが不思議だと感想を述べた。  それを受けた塩澤氏は,2005?2006年に公開された映画「宇宙戦争」と「ミュンヘン」の2本のスピルバーグ監督作品が,伊藤さんに大きな影響を与えたと分析。塩澤氏は,伊藤さんが「宇宙戦争」を「人がゴミのように死んでいく」「世界が終わる安らぎ」と評したことに言及し,Cheap Diablo 3 Gold,「虐殺器官」の主人公のイメージが固まったのではないかと述べる。さらに「虐殺器官」のクライマックスについては,「ミュンヘン」の“異国での死”という部分が影響していると推測した。また,伊藤さんがスピルバーグについて2008年に記したエッセイ「侵略する死者たち」からも,そうしたニュアンスを感じ取れるという
関連トピック記事:

0 件のコメント:

コメントを投稿